はや坊〜認知症ケアデザイナーの伝えたい事〜

認知症に関する様々な情報の発信

認知症ってなに???第10話

どうもはや坊です。



前々回より認知症の種類にフォーカスして話をすすめています。さて、今回は認知症の種類の一つである「レビー小体型認知症」についてです。





f:id:gokijet0519:20180514234518j:plain





レビー小体型認知症は現在、アルツハイマー認知症、血管性認知症に続いて3番目に多いとされており、その割合は数%~10数%程度と言われています。

※参考:『認知症ぜんぶ図解』(三宅貴夫、メディカ出版)



レビー小体型認知症って?


レビー小体とは、神経細胞に出来る異常なたんぱく質のことです。

レビー小体が増えてくると、その部分にある神経細胞の働きが衰えてきます。そのために神経同士の伝達が上手くいかずに認知症の症状が現れてくるのです。


このレビー小体というたんぱく質が原因となっている代表的な病気に“パーキンソン病”があります。パーキンソン病の場合にはレビー小体は脳幹(脳の下にある部分)にあるのに対して、レビー小体型認知症では大脳皮質(脳の表面)全体に広がっているのが特徴です。それが原因でアルツハイマー認知症や血管性認知症とは異なる症状が現れることが多いのです。





レビー小体型認知症の特徴的症状1:幻視
これは視覚を司る後頭葉部分が障害を引き起こすことが原因です。
幻視というのは、実際には見えないものが本人の目の前にはっきりと見えている幻覚症状の一つです。

「男の子がテーブルの上に立っている」
「ヘビが天井をぐるぐる回っている」
「女の人が空中を歩いている」
といったように、具体的ではっきりとした情景が本人の前には広がっています。

もちろん、これらは実際にいるわけではなく本人にしか見えていません。


レビー小体型認知症の特徴的症状2:パーキンソン症状
パーキンソン症状とは、
・病状の変化が乏しく無表情になる
・身体が硬くなり動かしにくくなることで動作がゆっくりしか出来ない
・ちょこちょこ歩き等歩幅が小さく小刻みな歩行になる
・バランスが崩れやすくなりその状況を立て直すのが難しくなる
等があげられます。


レビー小体型認知症の特徴的症状3:認知機能症状の変動
レビー小体型認知症では、頭がはっきりした調子の良い時と、ぼーっとしている時を繰り返しながら進行します。
時間や場所といった周囲の状況に対する認識であったり、会話をした際の理解力など、悪い時と良い時の差が目立ちます。

それが1日の中でもみられたり、週や月でみられたりと人によってもケースはさまざまです。








f:id:gokijet0519:20180514234847j:plain







レビー小体型認知症の対応方法

残念ながら今現在、レビー小体を完全になくす薬等の治療はありません。ですが、
ただ、認知機能の低下や変動、幻視に対して、アルツハイマー病の治療薬であるコリンエステラーゼ阻害薬が有効な場合があります。また抑肝散という漢方薬も幻視、気分の不安定さなどに対して効果があるとされています。



●否定をしないで話を聞く
先ほど話しました特徴的症状の一つでもある『幻視』では、本人には実際に見えている光景です。ですので否定はしないことが原則です。否定されると怒りや不安が強くなり、暴力を振るってしまうことがありますので注意が必要です。

●動作がゆっくりでも急かさない
身体が硬くなり動かしにくいため、低い段差でもつまづきやすく、少しバランスを崩しただけで転倒してしまう危険があ非常に高いです。また、いきなり後ろから声をかけたり、誘導しようとして服を引っ張ったりしただけでも転倒する場合があります。動作が遅くなるのは症状のためで仕方ないことですので、決して急かさないでください。余計に動けなくなります。




レビー小体型認知症は症状かアルツハイマー認知症等と少し異なる点もあります。
ですが、認知症ケアの大前提にあるのはその人を尊重して対応することです。



私は職場等で人と関わる時に意識していることがあります。


それは『お客様(ケアを行う人たち)へ一番自分自身が興味を持って関わること』です。



そうすれば必ずその人にその気持ちが伝わります。その気持ちの伝導が理解してもらえて始めて良いケアに繋がっていくものだと考えています。


認知症を抱える人、ケアを行う人、双方が心通える関係作りを。。。