はや坊〜認知症ケアデザイナーの伝えたい事〜

認知症に関する様々な情報の発信

認知症ってなに???第11話

どうもはや坊です。


今日は出張先からブログを書いています。
何気にお家以外でブログを書くの初体験‼笑っ



さて、今回は認知症の一つである「前頭側頭型認知症」について話をしていきたいと思います。






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前頭側頭型認知症は前頭側頭型変性症として指定難病となっています。
これは脳の前方にある前頭葉や横側にある側頭葉が何らかの神経変性を起こしてしまうことにより症状が現れる認知症のことです。神経細胞が壊れてしまったり脳が萎縮してしまいます。



ここで脳について簡単ではありますがご紹介しておきますね。




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前頭葉・・主に思考や意思、創造力などを司っており、 人間の大きな特徴ともいえる機能を果たす役目を担っている所です。

側頭葉・・耳の周辺に位置しており、言語の理解や記憶または物事の判断を行う所です。さらに感情を制御したり聴覚を司どっている部分でもあります。

頭頂葉・・空間の知覚機能であったり、触れている、痛みといった感覚情報処理も関連している所です。例えば、手で物を触ったり、体に触れたりした時、暗闇でも硬さ・軟らかさ・冷たさ・暖かさなどの認識をします。

後頭葉・・文字通り脳の後ろにあり、機能としては、色や形といった視覚情報を処理しています。





このように脳は部分ごとに持っている働きが違っています。なので、脳のどの部分が支障をきたしているかで症状も大きく異なってくるのです。




◯では、前頭側頭型認知症はどのような症状があるのでしょうか。先ほどの説明にあるように、

前頭葉は思考や感情の表現、判断をコントロールするため、人格や理性的な行動、社会性に大きく関わります。一方側頭葉は、言葉の理解、聴覚、味覚のほか、記憶や感情をつかさどります。どちらも大変重要な働きを担っているので、機能低下による影響は甚大です。


初期症状として多くみられるもの
●自発性の低下
ぼーっとしてやる気が起きない
質問にも適当に返事をしてしまう
引きこもり等

●抑制がきかなくなる
自分の欲求や何らかの刺激に対する反応が抑えられず、本能のまま行動するようになります。相手に対しての配慮が出来ず礼儀に欠ける行動をとったり、暴力をふるう、悪ふざけなどがみられます。また万引きをしたり、痴漢行為など反社会的な行動が出てくることもあります。これらは道徳観が低下することで起きてしまう、本人には罪悪感がありません。

言語障害や食事、嗜好の変化など



中期の症状
●同じ行動を取ってしまう
これは『常同行動』と呼ばれるもので、決まったことをしないと落ち着かなくなりその他のさまざまな症状まで出てくるようになります。
常同行動の例としては、毎日同じルートを通って散歩をする。2時25分等決まった時間にトイレに行く。などが挙げられます。


後期症状
●精神状態の荒廃や寝たきりとなっていきます。
(意欲の低下が激しくなり、やがて動かなくなり食欲もなくなってくる等)






前頭側頭型認知症に対するケアは?


前頭側頭型認知症は他の認知症に比べて、初期から行動に異常が見られる為、介護者の負担が大きいと言われています。適切な対応をする事は患者さんのみならず介護者の負担を減らすことにも繋がります。



◯病気による症状だと理解する
前頭側頭型認知症は本人が症状や病気のことを自覚していないことが多いと言われています。そのため、周りのケアをする人がそれを理解して対応していくことが必要になります。
どんな時にどのような症状が出るのかパターンを把握しておくことも大切です。


◯特徴的である症状を上手く活用する
同じことを繰り返す常同行動があると話しました。これをケアに活かして対応してみることも方法の一つです。例えば、掃除や片付けを本人の前で行い、それを真似てもらう。または本人の得意なことや好きだった趣味(折り紙、園芸、編み物、体操など)をケアする人と一緒に行ってみる等々。

一見するととても困る症状のようですが活かし方次第ではスムーズにケアが行える環境を作ることも可能です。



◯食事の好みなど変化には適切に対応する
食事の好みが変わったり、止まることなく食べ続けたりすることがあります。その時には、別のことに気を向かせたり食事時間を決めたり食生活を始めとする生活習慣にも気を配る必要があります。また、食べ急いでしまうこともあるので誤嚥など安全にも注意しておくことが大切です。




さて「前頭側頭型認知症」について話をしてきましたが、その人の行動パターンを理解することでその人に合ったケアはとても行いやすくなると思います。



そして何度か話していますが、ケアをする人は決して独りだけで抱え込まず味方を増やしていくことも忘れずにいてくださいね。。


認知症を抱える人もケアをする人もどちらにも暮らしやすい毎日が送れますように‼