認知症ケアはきちんと向き合うと上手くいく~「ユマニチュード」の効果~
どうもはや坊です。
認知症ケアのプロフェッショナルになるべく日々奮闘しています。
もちろん、上手くいくことばかりではありませんが、それでも人と接することは筆者の大好きなことの一つなので毎日幸せです。
※筆者の家族、銀ちゃん。生後1ヶ月くらいの頃ですかね。今では立派に成長して大変なくらいです。。笑っ
それでは本題にうつりますね。
今回は筆者が先日実践したことを話していきたいと思います。
認知症ケアは本人にきちんと話や説明をしてから行うことが大前提です。それは皆さんもご承知のとおりです。
ですが、忙しい毎日の中で、つい説明を忘れてケアを行ってしまうこともあるでしょう。
または他の事に気を取られながらケアをすることもあるかもしれません。
そうやってケアを行うとどうなるでしょうか。
それで上手くいくこともあります。
ですが、ほとんどの場合には認知症を抱える人からすると、何を言われているのか、何をされるのか分からないため、拒否反応を示します。
つまりケアが上手くいかないのです。
筆者も日頃介護を仕事として行っており、様々な介護の場面に遭遇します。
特に介護福祉施設などではほとんどの所で人手不足になっており、時間に追われることが多いはずです。
そんな中、ケアを拒否されるとケアを行う側としては“何とかしないと”という思いだけが強くなり、焦って声かけが雑になったり時には半ば強制的で一方通行な介護に陥るきっかけになります。
それは『介護、つまりケア』とは言いません。
勝手なお節介です。
それも“良いことをしている”という勘違いも同時に生まれてしまいます。
では、どうしたら上手くコミュニケーションを図って意志疎通をしたら良いのでしょうか。
答えはシンプル。
本人ときちんと向き合うのです。
皆さんは『ユマニチュード』という言葉を知っていますか?
以前にも話ましたが、これはフランスでイヴ・ジネスト、ロゼット・マレスコッティによって生みだされたものです。
“ユマニチュード”とは、その人がその人らしく生きられるように支援していくことです。
きちんと向き合い話す
きちんと向き合い聴く
きちんと向き合い触れる
きちんと向き合い寄り添う
これらをその人のことを思いながら実践することですぐに効果が現れます。
※実際のユマニチュードは
①見る②話す③触れる④立つ
を基本としています。
筆者はこれを実践してから幾度となくケアを円滑に行うことが出来ています。
先日もこういうことがありました。
それは入浴の時間のことです。
筆者がいつも通りに“Zさん、お風呂入りましょうね。洋服脱ぎますね。”というように声かけしながら介助をしようとすると、Zさんが鋭い視線になり拒否反応を示したのです。
その時は入浴の終了時間も迫っていて、他の人も慌てた様子で声かけしながら半ば強制的に介助しようとしました。
Zさんもより拒否反応を示します。
1分1秒でも急ぎたい気持ちはありましたが、ここで一呼吸置いてから、
筆者が一人で再度Zさんに声かけしてみました。
始めの声かけの際、筆者は腰を落としてなるべくZさんと視線を合わすようにしていましたが、不十分でした。
そこでZさんの正面に腰を落とし、Zさんよりも少しだけ低い位置に視線が来るようにしました。
そしてZさんと目を合わせながらゆっくり説明しました。
筆者「Zさん、今日は入浴したくないですか?もし嫌なら入らなくても大丈夫ですよ。でも入浴の準備はしておいたのでもし良かったら入ってサッパリしませんか?」
※上の声かけ方法は筆者が実際にZさんに行ったものそのまま掲載しています
するとZさんは小さな声でしたが
「はいる…」
そう、答えてくれたのです。
その返事があってからは1度も拒否することなく入浴を無事に終えることが出来ました。
これは筆者の声かけ方法が良かったのではありません。
声かけを行う前に、本人ときちんと向き合おうとする姿勢をZさんは感じ取ってくれ、その気持ちに素直に答えてくれたのです。
ユマニチュードは、認知症を抱える人のケアだけで行うものではありません。
人間同士がコミュニケーションを図る時には誰とするにしても大切な姿勢なのです。
日々、ユマニチュードを実践している筆者ですが、これほどまでにすぐに効果が出たのは久しぶりだったので、とても嬉しい気持ちと他には上手く言葉に出来ない気持ちとが溢れて幸せに感じたことだけが覚えています。
※まだまだユマニチュードの実践は足りない所も多いのですが…。
きちんと向き合う姿勢は、きっと伝わります。
伝わると反応で返ってきます。
皆さんも日頃のケアで実践してみませんか?
きっと幸せを感じ取れるはずです。
認知症を抱える人もケアを行う側も双方にとってより良い環境になることを切に願って。。。