やっと認知症のことがわかった、長谷川先生の言葉は力がある
どうも、認知症ケアデザイナーのはや坊です。
今回は「認知症医療」のパイオニア的存在の長谷川和夫先生の著書
『ボクはやっと認知症のことがわかった』を読んでの感想を綴りたいと思います。
長谷川先生は現在日本中の医療・介護業界でもっとも使われている認知症の診断の指標である
「通称:長谷川式スケール」を考案した本人である。
これまで何十年もの間を認知症医療のために尽力してきた先生ですが、その先生が
2017年に自らも認知症になったことを公表して当事者になってからわかってきたこと等を書き綴っている。
この本では
第1章・・認知症になったボク
第2章・・認知症とは何か
第3章・・認知症になってわかったこと
第4章・・「長谷川式スケール」開発秘話
第5章・・認知症の歴史
第6章・・社会は、医療は何ができるか
第7章・・日本人に伝えたい遺言
という流れで構成されている。
まずは1章で自分自身も認知症であるとすぐに話されている。
それは長谷川先生が「もっと多くの人に認知症のことを知って欲しい」という強い願いの表れではないかと思う。
先生曰く年をとれば誰もが認知症になると仰っており、言ってしまえば認知症は一種の老化とも取れるスタンスで考えているのかなと個人的には解釈している。
※実際に著書にはそのような表現はありませんのであくまで個人的見解です
認知症の原因や認知症のタイプ、症状などはこれまでの投稿でも触れていますので今回割愛しますね。
(これまでの投稿で症状や認知症のタイプ別などで紹介していますのでそちらもご参考にしてみて下さいね)
認知症ケアでよく言われているのが、
◯本人を否定しない
◯急がせない、慌てさせない
◯本人を中心としたケアを行う
こういったものがありますが、やはり先生もその大切さを唱えています。
◯置いてきぼりにしないで
認知症だから何もわからないと決めつけて、当事者以外で話を進めてしまうことはやめて欲しい。
認知症の人も人の話はもちろん聞こえていますし、感情もみんなと同様にあります。だからこれまでと同じように関わっていくことが大切だと仰っています。
◯時間を差し上げて
認知症の人は話を理解したり、返答するまでにどうしても時間がかかることがあります。
ですので、返事や反応を急ぐのではなくその人に考える時間を与えて欲しい。
また、介護者が
「◇◇をしましょう」や「△△をしたらいかがですか」と言う質問も良くないと仰る。
これは介護者の多くが行なっているやり方ではないだろうか。
なぜ良くないのか、、それはそのような半ば決めつけとも取れる言い方をされると他の方法を考えることが出来なくてなってしまうとの事。
なので「何がしたいですか?」「何がしたくないですか?」と質問したり
「◇◇と△△、◎◎がありますがどちらが宜しいですか?」と本人が考えやすい、選びやすい方法で行うことが大切である。
さらに、認知症ケアに関わらず生活の中で「笑い」に囲まれていることの大切さも仰っています。
笑いには心を和ませる力が秘められているので、生活をしていく中で笑いあえる家族や仲間の存在がとても重要であると記されています。
最後に先生がこれぞ認知症ケアの真髄であるとして紹介された出来事を本からそのまま抜粋してお伝えしますね。
以下著書よりそのまま引用
”公園を歩いていた小さな子が転んで泣き出しました。すると、四歳くらいの女の子が駆け寄ってきました。小さな子を助け起こすのかと思ってみていたら、女の子は、小さな子の傍らに自分も腹ばいになって横たわり、にっこりと、その小さな子に笑いかけたのです。泣いていた小さな子も、つられてにっこりとしました。しばらくして、女の子が「起きようね」というと、小さな子は「うん」といって起き上がり、二人は手をつないで歩いていきましたーー”
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これを読んで私もまさにその人に寄り添うケアだなと感心させられました。
何かをすることだけがケアではありません。その人と同じ目線に立ってみる、その基本をいつでも忘れることなく関わっていくことが大切であり、それ以上のケアはないといっても言い過ぎではありません。。
認知症を抱える人もそのケアを行う側も双方にとってより良い環境になることを切に願って。。。