はや坊〜認知症ケアデザイナーの伝えたい事〜

認知症に関する様々な情報の発信

認知症ってなに???第13話

どうもはや坊です。



認知症のケアに仕事として毎日関わっていますが、食に関する事は認知症のケアでとても工夫した対応が必要な項目の一つです。


今回はその「食」に関して認知症の症状から起きてくる問題や対応方法などを紹介していきたいと思います。






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認知症の症状で食に関することとして真っ先にイメージすることは何??





と聞かれると多くの人が『食べていない』と食べたことを忘れたことだと答えると思います。
これは“認知症”と“単なる物忘れ”を区別するときによく例として使われています。



食べたことを忘れるのは認知症の中核症状である「記憶障害」によるものです。


食べたこと自体を覚えきれないため、何度も何度も食事の要求をしてしまうのです。また、この場合お腹は満腹ですが脳が満腹だと判断出来ないため、身体は苦しいのですがどんどん食べてしまうのです。



認知症の症状が進行すると食事後数分もしないうちに「お腹すいた、食べるものちょうだい」等食事の催促をすることがみられます。
また、夜中に冷蔵庫の中身をほとんど食べてしまうといった話も耳にすることさえあります。




この症状を抑えることはなかなかに難しいのが現状です。
食べたことを説明しても納得してくれることは少ないですし、時に怒ってしまうこともあります。



食に関することなので、与え続けようにも身体面や経済面等のことも考えるとまず出来ないと思います。


では、どのように対応したら良いのでしょうか。





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方法としていくつか挙げてみたいと思います。



◯話題を食に関することから変えてみる
これは食だけでなく、以前にも話したように症状の一つ妄想等における対応としても効果的な場合があります。
本人の好きなことなどを話ながらなるべく食から意識が離れるような工夫もしてみて下さい。



◯食に関する情報を見えるように掲示しておく
認知症の記憶障害では、新しい情報を覚えることがとても難しいとされています。ですので口頭で話をしてもすぐに忘れてしまったりなかなか理解出来ないことも多いです。
そのため、カレンダーに食事が終わると『済み』など印をしたり、時計を使って時間がきたら食事だと分かるような掲示をしておくことも効果的な方法です。



◯「準備をするので××分待って下さい」などと伝える
説明をする時に具体的な数字や内容があると納得が得られることもあるのでそのような声掛けをしてみても良い方法の一つです。



◯カロリーが少なく口の中に長い時間残りやすい食材を選んで食べてもらう
食事の要求が何度も続くと説明や他の対策でも上手くいかないことがあります。仕方なく食べ物を渡す時には、なるべく低カロリーでかつ口の中に長く残りやすい昆布などの食材を選ぶと良いとされています。





対策として毎回同じような対応方法が効果的でないこともあります。ケアをする側もなるべく負担が大きくならないように上手く線引きをしながら関わっていくことが大切だと思います。




認知症を抱える人もケアをする人もいつまでも『楽しい食』になれる環境を願って。。。