はや坊〜認知症ケアデザイナーの伝えたい事〜

認知症に関する様々な情報の発信

認知症ってなに???第12話

どうもはや坊です。



今回からまた認知症の「周辺症状」について話をしていきたいと思います。
今回は『徘徊』についてです。






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◯そもそも徘徊って?
徘徊とは認知症の周辺症状の一つです。
“徘徊とは…あてもなく歩き回ること。うろうろと歩き回ること。”


このように徘徊は説明されています。他の人から見るとあてもなく歩いているため、「この人は何をしているのだろう?」と疑問に思われたり、毎日ケアをする人からしてみると「大変、、面倒臭い」等とても煙たがられたりすることが多いです。

徘徊を行う人のケアはとても忍耐・辛抱強く対応していくことが必要です。それもあって介護負担が格段に大きくなるとされています。



ではなぜこの徘徊が介護負担を大きくしてしまうのでしょうか。

徘徊が現れると家の中や外を絶えず歩き回ってしまいます。





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では、なぜそのような行動を取るのでしょうか。
◯徘徊が起こる原因
徘徊は認知症の中核症状である記憶障害や見当識障害、判断力の低下等が原因となって起こるいわゆる二次的症状なのです。

これらが原因で不安やストレスを抱えてしまい、それを解消しようとして徘徊という行動にうつってしまうのです。


記憶障害によるもの…
始めは目的地に向かって外出したものの、その途中で目的を忘れてしまいそのまま徘徊してしまう


見当識障害によるもの…
トイレの場所が分からなくなって探し回ったり、自分の家や目的のお店等を探して外を歩き回ってしまう


判断力の低下によるもの…
道に迷ってしまっても状況の判断が出来ずに他の人に尋ねる等が出来ないためうろうろしてしまう



徘徊でよく耳にするのが
①物(人等も含む)を探している
②帰宅要求


が最も多い徘徊の特徴として挙げられます。
2つとも上記の記憶障害などが原因で起こっています。
そして本人のそういった目的が満たされないため、更に徘徊が悪化してしまうケースがみられます。



◯徘徊することで起きてしまう危険
徘徊には、事故やケガなどのさまざまな危険が伴います。
その一つが“行方不明”です。認知症の人は、外に出てうろうろしているうちに、自分の居場所や帰り道が分からなくなることがあります。
コンビニや交番などで行方不明の捜索としてチラシが貼られていることがあります。これも一定数は認知症の徘徊によって起こってしまったことだと推測されます。
徘徊中に警察など誰かに保護してもらえれば良いのですが、行方が分からずに時間が経てば、交通事故に巻き込まれるおそれもあります。
 
そのほかにも、転倒によるケガや夏場の脱水症状と熱中症、冬場の低体温症といったさまざまな危険が考えられます。

※転倒や熱中症は、家の中での徘徊でも起こりうることなので、十分に注意が必要です。




徘徊が起きてしまったら・・・

徘徊には必ずといっていいほど、何かしらの要因が隠れています。まずはその要因を把握することが大切です。


☆理由を聞く
徘徊が始まった場合、何をしようとしているのか、どこに行こうとしているのかを本人に直接聞くことが大切です。
トイレに行きたいと分かれば、その場所へ案内すると症状が落ち着くことも多いのです。

☆無理に止めない
徘徊を無理に止めようと、本人の言い分を拒否したり強い口調で咎めたりすることは避けて下さい。本人は不安で徘徊しているのにそれを否定されることでより不安やストレスを抱えてしまい徘徊が強くなってしまうケースがみられたりします。本人と話をしながら話題を変えてみたりしながら要因を把握するように努めると良いと思います。

☆警察へ通報して協力をしてもらう
外での徘徊で行方が分からなくなってしまった場合、時間が経てばたつほど家族だけでは発見することが難しくなります。また、上記のように事件や事故にも遭う可能性が高くなってしまうので、警察への通報で一刻も早く発見出来るようにしましょう。





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これまで徘徊の原因や症状について話をしてきました。そのケアはとても繊細な対応が必要となります。

現状では徘徊の症状自体を消すことは難しいですが、徘徊をすることによる危険に対しては回避策を講じることはできます。
また、対応方法によっては徘徊の頻度を減らせる場合もあります。その方法もいくつか紹介していきます。



◯本人が探していることが多い場所を分かりやすく表示する
トイレ等の場所を探して徘徊する人に対しては、その場所を大きく、はっきりと分かりやすく表示することで本人が混乱することなく場所へ移動することが出来ます。


◯玄関の鍵は本人が分かりやすい場所へ置かない
外への徘徊が頻繁に起こってくると事件や事故に遭う可能性が格段に高くなります。その可能性がある人へはなるべく1人だけで外に出る機会を減らす必要があります。

玄関の鍵を本人が取りやすい場所へ置かない、等の対策も不要な事件や事故に遭う可能性をなくす方法としては効果的です。


◯一緒に散歩する等定期的な外出で気分転換を図る
先ほどの1人だけで外に出る機会を減らすことは効果的だと話しました。ですがずっと家の中に閉じこもった状態は良くありません。
時々は一緒に外出して散歩したり買い物をしたりと気分転換を図ることで心も身体もリフレッシュして症状が落ち着くこともあります。


◯持ち物に名前や住所を記載しておく
万が一、本人が徘徊によって居場所が分からなくなった場合にこの方法を対策しておくと早期に発見に繋がることがあります。




徘徊は認知症の対応で最も難しくかつ介護負担が大きいとされるものの一つです。
家族やケアをする人だけではその負担が大きすぎて、ケアをする側が疲れやストレスで倒れてしまったり二次災害のおそれもあります。


いつも話をしていますが、味方を1人でも多く増やしてより万全なケア体制を整えていくことも大切なことです。
そこも常に頭に入れながら認知症について対応をしていきましょう。



認知症を抱える人もケアをする人も互いに幸せな日々が送れることを願って。。。