認知症ってなに???第7話
どうもはや坊です。
前回までは認知症の主症状である「中核症状」について各項目に分けてお話をしてきました。
今回からはもう一つの症状である「周辺症状」について話をしていきたいと思います。
周辺症状はその他にも随伴症状や副次症状または認知症の行動・心理症状(BPSD)などさまざまな呼び方がされています。
ここでは周辺症状と統一してご紹介させて頂きます。
認知症になると前回までの「中核症状」は、人それぞれ大小はありますが必ず生じてしまうものです。
それに対して「周辺症状」は認知症を抱える人の身体・心理・環境等が適切にケア出来ていれば症状が出なかったり改善されたりするケースも多いのです。
私が、認知症ってなに???シリーズ
このブログの第1話でお伝えした、、
1番効果があるものとして『認知症を抱える人へのケア』が大切であるとお話しました。
それはまさにこの周辺症状に対しての事なのです。
もちろん記憶障害や見当識障害などの中核症状にも適切なケアは大切です。
そのケアで中核症状を抑えることは出来ませんが今後の周辺症状は左右されると思って言い過ぎではないと思います。
それではここでおさらいです。
周辺症状にはどのようなものがあるのでしょうか。
このように周辺症状は中核症状よりも多くのものがあります。
今回はその中から「妄想」について話を進めていきたいと思います。
妄想とは・・・現実では有り得ないこと、または真実とは異なることを真実だと思い込んで固執してしまうことです。
周囲の人がいくら否定をして訂正させようとしても、間違った考えを言い続けます。妄想が見られると、考えを変えることは非常に難しいです。
ここで認知症の症状としての妄想でよく見られる2つをご紹介します。それは“被害(物盗られ)妄想”と“嫉妬妄想”です。
物盗られ妄想とは、
「ここに置いていた財布がない。誰かに盗られた」等本人が大切にしている物を盗られたとして思い込んでしまうことです。
実際には盗られた訳ではなく、記憶障害によって置き場所を忘れていることが多いために起きてしまうのです。この物盗られ妄想は女性に多いとされています。
嫉妬妄想とは、
「夫(妻)が浮気をしている」と信じ込んで不安になったり怒りが生じてしまう妄想のことです。こちらも実際とは異なりますが、興奮や怒りが大きい場合には暴言を吐いたり、手が出てしまうことさえあります。
またこのような妄想で認知症の方から攻撃的の的(ターゲット)となるのは身近な親族や介護者が最も多いです。それはいつも側にいて関わる時間が多いからだと推測されます。
妄想により暴言を吐いたり、親族や介護者を犯人扱いして他の人に言いふらしてしまうことさえあります。
親族や介護者としては毎日懸命に介護をしているのにも関わらず、まるで犯人扱いをされるととても辛く、苦しく、いたたまれない気持ちになってしまいます。
ですが、このような言動は認知症を抱える人にとっても、
※徐々に自分が衰えてきたことの自覚から生じる不安や焦りが、金銭への執着や見捨てられるかもしれないとの恐怖に発展するのだと思われます。
これに加えて、介護して下さる方への感謝や負い目、上下関係の逆転といった変化が複雑に絡んで出現する症状といえるでしょう。
※引用『相談e-65.net』より
では、このような物盗られ妄想や嫉妬妄想に対してどのようにして対応していけば良いのでしょうか。
方法としては
①否定せずに落ち着いて話を聞く
妄想は本人がそれを真実だと思い込んでいるので、それを否定したりされると余計に不安になったり感情が大きくなり症状の悪化を招いてしまいます。そのため、否定はせずに“そうなんですね、大変ですね”等肯定や受け止める姿勢を持ち、“一緒に探しましょう”と行動も一緒に出来ると本人も落ち着いてくることが多いです。
②話題を変える
物盗られ妄想や嫉妬妄想が見られるときは、一種の興奮状態にあることが多いでしょう。
そんなときには、食事をして小腹を満たしたり、孫のことや趣味の話をして話題を変えてみるのも効果的な方法です。また散歩に出かけたり環境を少しだけでも変化させるとリラックスして気持ちが落ち着く場合もあります。
③周囲の人にも理解してもらう
周りの人たちにも物盗られ妄想や嫉妬妄想がある旨を事前に伝えておくことも効果的です。妄想が出たときには話題を変えてもらったり、また、認知症を抱える人への理解を促し介護の味方を増やしていけるというメリットもあります。
④専門機関に相談する
物盗られ妄想等が見られた場合、できるだけ早く専門機関に相談したほうが良いでしょう。親族や介護者だけで問題を抱えると負担だけが大きくなり、その重圧に耐えられなくなってしまうことがあります。
病院などの専門機関で診察を受ける以外に、自治体などの介護相談窓口や地域包括支援センターに、対応を相談するのも1つの方法です。
さて、今回から「周辺症状」とりわけ『妄想』について話をしてきました。
この問題は親族や介護者といった身近な人がターゲットにされやすく、対応方法が難しいものでもあるでしょう。
症状をきちんと理解して、かつ周りの理解も得ながら味方を増やし、専門機関への相談で少しでも介護の負担を分散させることが重要になってきます。
そうすることで関わる人がゆとりを持って、認知症を抱える人へ適切なケアが継続して行えると思います。
認知症を抱える人もケアする側もより良い関係を長く築けますように。。。