はや坊〜認知症ケアデザイナーの伝えたい事〜

認知症に関する様々な情報の発信

認知症ってなに???第14話

どうもはや坊です。



今回は認知症の周辺症状の一つである「暴言・暴力」について話をしていきたいと思います。






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認知症の症状として時々、大きな声で威嚇したり攻撃的な言葉を発したりすることがあります。
また、実際に手で叩いたり足で蹴ったり、噛みついて人に怪我をさせてしまうケースもよく耳にします。


実は筆者も上記の全てをされたことがあります。



このように暴言・暴力は認知症のケアをする側にとってみると、とても大変で対応に困ることが多いでしょう。どうにかしなければ適切なケアをすることが困難になってしまいます。



では一体、なぜ認知症の症状として暴言や暴力が現れてくるのでしょうか。



認知症は脳が何らかの影響で支障をきたして起こるものです。
記憶障害や判断力の低下、または妄想などさまざまな症状が出てきます。


実は暴言や暴力をしてしまう人たちは、上記の記憶障害等の症状によるものがほとんどを占めているのです。



そのような症状を含めて暴言・暴力を引き起こしてしまう原因は『人間の防衛本能』、これに尽きます。




人間というのは恐怖や不安に晒されると、自分を守ろうとして防御体制に入ったり逆に攻撃をしてしまう生き物です。




認知症を抱える人にとって暴言や暴力をするときには何らかの恐怖や不安を感じている証拠なのです。



認知症になると覚えることが難しく、物事の理解や判断が出来なくなってしまいます。



それを意識しながら次のやり取りを確認してみて下さい。
●例
Aさん:本人(認知症を抱える人)

Bさん:ケアを行う人


Aさん「トイレに連れていってちょうだい」



Bさん「これ(他にしている作業)が終わったら行きましょうね」



作業終了後、BさんがAさんをトイレに連れて行こうと側に来てAさんの手を取る



Aさん「急に何するの?」と怒ってBさんを叩いてしまう



お分かりでしょうか。
なぜAさんは自らトイレに行きたいと話していたのにも関わらず、怒りだしてしまったのでしょう?


①トイレに行きたいと話していたことを忘れている
②急に手を触られて何が何だか理解出来ていない状態である
(何で手を触られているのか分からない)
③自分がどうしていいのか判断がつかない
(何?など理由を聞いたり、分からない状況のその後の対応をどうしたら良いのか理解出来ない)


そういった状況が混乱を大きくし、恐怖や不安が大きくなり、防衛本能として暴言や暴力になってしまうのです。



つまり、認知症の症状である暴言・暴力は故意にしているのでも何でもなく、恐怖や不安から抜け出すための防衛本能なだけなのです。


では、どうしたら暴言や暴力が現れないようになるのでしょうか。




結論は、、、




『その人の恐怖や不安を取り除いてあげる』




それだけです。
声を掛ける時にも直接手や身体に触れる時にもどうしたら恐怖や不安が出来るだけないようにしたら良いのかを考えて、行動する。


☆声のトーンや口調はイメージしやすいかと思います。
☆その他にもジェスチャーを交えて用件を聞いたり伝えたりする。
☆表情も「あなたに害を与えるつもりはありません」と表すかのように穏やかな表情で関わることでも大きな違いが生まれます。



暴言・暴力はもちろんその人の性格的な要素や環境にも多少は影響されると思いますが、


最大の原因は『人間の防衛本能』であると理解しておくと対応方法もがらっと変わるかもしれませんね。。。




認知症を抱える人もケアをする人も互いに幸せな毎日が過ごせることを願って。。。