認知症ってなに???第6話
どうもはや坊です。
認知症ってなに???シリーズ
このブログを始めてからというもの、自分も日頃から認知症高齢者と関わっていくなかで考え方や関わり方が少しずつ変わってきているように感じます。
皆さんへ情報発信しているつもりが自分自身の振り返りにもなっています。
これからもドンドン更新していきますので、少しでも認知症に関わる人にとってお役に立てるようにしていきますね。
さて、今回は中核症状の一つ「失認、失行、失語」についてです。
どの言葉も『失う』という文字が表すように、それぞれが出来なくなってしまった状態のことを差します。
それぞれ一言で言うと、
①失認・・見たものが何であるか分からない状態のこと。
②失行・・目的に合った動作が出来ない状態のこと。
③失語・・上手く言葉が出なかったり、聞いた話が上手く理解出来ない状態のこと。
このような状態は高次脳機能障害の一つでもあります。
※高次脳機能障害については、また別の機会にでもお話出来ればと思います。
では、それぞれの項目を確認していきましょう。
まずは「失認」です。
見たものが何であるか分からないとはどういうことでしょうか。
人には視角や聴覚、嗅覚等いわゆる五感というものがあります。
この五感に何か障害があるわけではないが、その五感から得た情報が適切に認識出来ない状態になることを「失認」といいます。
例は以下のようなものがあります。
◯ティッシュを見て食べ物だと思ってしまい、口の中に入れて食べようとする
◯知り合いの顔を見ても誰か知らない人だと思ってしまい、よそよそしい態度を取ってしまう
◯ドアのチャイムが鳴ってもそれが何の音なのか理解出来ずに反応を示さない
◯身体に触られている感触はあるがどこを触られているのか分からない
と、失認は五感に対して様々な症状が現れます。
次に「失行」です。
先に目的に合った動作が出来ない状態とお話しました。手や足といった体を動かす器官のことを運動器といいます。その運動器には異常がないのにも関わらず、目的に合った動作が出来なくなる(出来にくくなる)のです。
こちらの例としては
◯歯磨きをしようと歯ブラシを持ってもその使い方が分からずにぼーっとしてしまう
◯テレビ等家電製品のスイッチ入れ方が分からなくなってしまう
◯洋服のボタンの掛け方が分からなくなってしまう
◯“手を挙げて下さい”という問いかけや指示に対して聞いてはいるが何もせずに動かない
全て一連の動作自体を行うことは可能です。
ですがその場その時において適切な動作が出来なくなってしまうのです。
3つめは「失語」です。
失語とは上手く言葉が出なかったり聞いた話が上手く理解出来ない状態とお伝えしました。これは恐らく「失語」という言葉からもイメージしやすいのではないのでしょうか。
実はそれ以外にも【読む、書く】といった文章にまつわることの障害も失語として分類されます。
今回は【話す、聞く】について焦点を当てていきたいと思います。
話すということにおいて、意味のある言葉が発しにくい状態を“運動性失語”あるいは“ブローカ失語”といいます。
人の話していることは理解出来ていますが、その返答の際に上手く言葉にならずに発音がはっきりしなかったり、「あの、その、、、」などあいまいな話し方になってしまうことがあります。
一方、聞くということにおいては“感覚性失語”あるいは“ウェルニッケ失語”と呼ばれています。これは発語自体はとてもなめらかでスラスラと言葉が出てきますが、会話の内容としてはつじつまが合っていなかったりします。
これは脳が損傷を受けた場所の違いによって分かれるものです。
ブローカ失語は、左下前頭回の弁蓋部と三角部という場所(簡単に説明すると脳の前方左下)が損傷を受けることで引き起こされます。そこには言語野と呼ばれる言葉を司る部分があるため、そこに損傷を受けると言葉に障害が生じてしまうのです。
ウェルニッケ失語は、側頭葉の上側頭回・後部という場所(簡単に説明すると脳の横側)が損傷を受けることで引き起こされます。そこには聴覚野と言われる耳から脳に届けられた音を知覚する部分があります。
両方とも、その原因としては脳梗塞や脳出血などの脳血管障害、または事故などで脳が外傷を負ったことが大きな要因だとされています。
「失認、失行、失語」に対しての対応方法とは?
失認に対しては
◯分かりやすい言葉で説明すること
失行に対しては
◯関わる人が模範となって一緒に動作を行う
失語に対しては
◯聴こうとする気持ちを持ち、少しゆとりを持って待つ、ゆっくりはっきりと話をする
ということが挙げられます。
認識ってなに???
これまで中核症状について一通り説明して参りました。
少しでも皆様のお役に立てているかは不安ですが、何か気になる点がありましたらご質問でも何でも構いませんのでお待ちしております。
次回からは【周辺症状】についてお話をしていきたいと思います。
☆認知症を抱える人もそのサポートをする人も互いに支援していけたらと思っています★