はや坊〜認知症ケアデザイナーの伝えたい事〜

認知症に関する様々な情報の発信

認知症対応実践:食事編その3

どうもはや坊です。


今回も認知症の症状で問題となりやすい『食事』に関する対応方法の紹介をしていきます。





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引用:http://web.m-mizuho.com/e-space/nature/natsuno.html



認知症の症状によって、日常生活を送る上でさまざまな問題が生じてくるようになります。
その中でも『食事』に関することは、比較的大きな割合を占めているのではないでしょうか。


今回も食事に関する症状が出た時の対応方法を事例を紹介しながら紐解いていきましょう。



※食事編及びその2もご参照下さい。

認知症対応実践:食事編
http://gokijet.hatenablog.com/entry/2018/05/28/232949

認知症対応実践:食事編その2
http://gokijet.hatenablog.com/entry/2018/05/29/234615




それでは早速。
今回は対応策の3つ目である、
“実際の食事までの間にちょっとした食べ物で気持ちを落ち着かせる”です。



これは読んでお分かりの通り、食事以外にも食べ物を食べてもらい本人の気持ちを落ち着かせたり、時間を繋ぐ方法となります。



ですので、云わば【最終手段】といってもいいかもしれません。
筆者もこの方法は多用することはありません。前回の実践1や2といった対応方法がどうしても上手くいかずに、かつ、認知症を抱える人が落ち着かない場合のみ実践しています。


なぜ、この方法が最終手段なのでしょうか。
皆様もお分かりかもしれませんが、この対応策だとそれが癖になってしまう可能性があるからです。

認知症を抱える人は、記憶が難しかったり、状況判断が上手く出来ません。ですが、常にそうであるかといえばもちろんそうではありません。
時にはしっかり記憶していたり、理解や判断が出来ることも多くあります。そのため、食事の要求に対して与え続けるとそれを認識して同じような状況がより悪化してしまうのです。


ですので、繰り返しになりますがこの方法は【最終手段】であることを十分に理解した上で行う必要があります。



実践例
Cさん:認知症を抱える人
筆 :筆者


Cさん「今日はまだご飯食べてないからお腹空いたな。何かないの?」

筆「今食事の準備をしています。ご飯が炊けるまでもうしばらくかかりますからお待ち頂けますか?」
※実践1でまずは対応

Cさん「もう待ちきれない、、早くご飯食べさせてよ。」

筆「他にも食事を心待ちにしている方がいます。その方々と一緒に食べたらもっと美味しいと思いますよ。ですので出来上がるまでその方々と話をしながら過ごしましょう。」
※実践2でも対応


※※実践1と2は順番が入れ替わっても問題はありません。これを何度かトライしてみる


Cさん「早くしてよ。私はご飯が食べたいのに、、」

筆「分かりました。じゃご飯が来るまでこれを食べて一緒に待ちましょうか。後から美味しい食事もありますので今は少しにしましょうね。」



例にあるように、まずは前回でも紹介した“きちんと説明して納得してもらう”方法や“他のことをしたり考えたりして意識を別へ向けてもらう”方法を行ってみて下さい。


それらの方法で納得したり落ち着いてもらえるとケアをする側もそうですが、1番は本人が楽になれます。
余計な不安やイライラ等を感じなくてすみますので、、
ですので、なるべくは実践1や2での対応方法を心掛けてみて下さい。



また、例の最後にもあるように
食べ物は少量にすることも大切です。
食事以外にも色々と摂取することになると、当然食べる量が全体的に増えてしまいます。それが続くともちろん体重増加にも繋がります。


体重が増えると、
・身体が重くなり動くのがおっくうになる
・膝などにより大きな負担がかかる
生活習慣病になるリスクが高まる等


これらはご承知の通りですので、最終手段であるこの方法は少量ずつにすることが肝心です。
また、昆布など噛む時間が比較的長く、口の中に残りやすい食材を選ぶことも一つの有効な手になります。
※但し、認知症を抱える人の中には嚥下(飲み込み)のリスクが高い人がいますので、そちらは十分に注意して対応して下さい。




今回はある種の【最終手段】である食べ物で繋ぐ方法を紹介しました。
この方法を使わなくても対応出来ると、認知症を抱える人・ケアをする側双方ともにメリットが大きいと筆者は考えています。



認知症ケアがする側、受ける側のどちらにとっても幸福な環境になることを切に願って。。。